どうも、たかしです。
僕は現在小屋暮らしに向けて、購入予定の土地に付随してきた空き家の整備を進めているのですが……
先日庭に放置されていたゴミの片づけを行っていた際に、とあるとんでもない代物を発見してしまいました。
それがこちら、取り外されたナンバープレートです。
皆さんの中に「車のナンバープレートを所持している」と言う人はなかなかいないと思います。なぜならば、通常ナンバープレートは、車を乗り換えたり廃車にしたりする際に返却・破棄の手続きをする流れになっているからです。
しかし、実はとある手続きを踏めば、廃車になった車のナンバープレートを所持することができるのはご存じでしょうか?
今回の記事では空き家から出てきたナンバープレートを事例に、なぜナンバープレートは基本的に所持することができないのかや、近年施工された「ナンバープレートの記念所蔵」という仕組みについて解説し、空き家から出てきたナンバープレートから垣間見える闇について考察していきます。
それでは、やっていきましょう。
①通常ナンバープレートは所持できない理由
ナンバープレートは、基本的に廃車手続きの際に返却義務があり、車を手放してナンバープレートのみ所有するということができないことになっています。
ナンバープレートを返却しないと登録抹消の手続きができず、使用していない自動車や既に解体してしまった自動車に関してまで自動車税がかかってしまいます。
それでは、なぜナンバープレートを返却する必要があるのでしょうか?
それは、ナンバープレートが個人情報の固まりであり、車を同定し所有者を探し出すための非情に重要な情報となっているからです。
使用済みのナンバープレートは「付け替え」や「偽造」に使われ、車を使った犯罪行為をする場合に利用されるケースが多くあります。犯罪グループにとって使用済みナンバープレートは非常に有用なアイテムなので、放置されている車両からナンバープレートだけが取られるというのは良くあることのようです。実際、僕の知り合いにもしばらくぶりに乗ろうとした車のナンバープレートが盗まれていて、再発行するために仕事を早退して陸運局までわざわざ足を運んだ人がいました。
それだけ犯罪行為に利用されることが多い代物だからこそ、廃車手続きを進める際にはナンバープレートの返却義務が取り決められているのです。
②ナンバープレートの記念所蔵について
上記で述べたように廃車手続きの際には返却義務のあるナンバープレートですが、とある申請に基づいて処理をすれば例外的にナンバープレートを所持することが可能になります。
それが2017年4月から始まった「ナンバープレートの記念所蔵制度」です
2017年10月10日~2021年9月30日にかけて発行された「2020年東京オリンピック記念ナンバープレート」や、地域の特色を表現したデザインの「ご当地ナンバープレート」、その他思い入れのあるナンバープレートなど、手放した車のナンバープレートを記念に取っておきたいという声が増えてきました。それら事情を背景にできたのが「ナンバープレートの記念所蔵」制度です。
陸運局にて廃車手続きを進める際、通常であればそこでナンバープレートの返却が行われますが、ナンバープレートに「直径40mm以上の穴」を開けることで記念に所持することが可能になります。その際陸運局では追加手数料(100円)にて穴あけのサービスも行っているようです。
市役所で発行される原付のナンバープレートのような物を除き、穴さえ開ければどんなナンバープレートも記念所蔵することができるようになります。基本的に穴の位置は原則ナンバー左上の取り付け穴の位置に決まっているようです。
なぜこのような破壊措置が必要になるのかと言うと、直径40mm以上の巨大な穴が開くことになってしまいますので再取り付けはできませんし、無理に取り付けても一目で異常なのが分かるようになるからです。そのため、破壊処理を施したナンバープレートならば犯罪行為に利用できなくなるため、記念所蔵が認められるようになるということですね。
ちなみにですが、目新しいデザインや数字の物はメルカリにて出品されていて、物にもよりますが高い物だと1万円以上で取引されている事例がありました。こちらの記事によると国土交通省的にも認めている合法の行為のようです。
ぞろ目だったり一桁だったりの物珍しいナンバーの車をお持ちの方は、廃車にする際には記念所蔵手続きをしてお小遣い稼ぎをするのもいいかもしれませんね。
③改めて空き家から出てきたナンバープレートについて考える
ここでもう一度空き家の庭から出てきたナンバープレートを観察してみましょう。
はい、穴開いてません。
そもそも一番左のナンバープレートに関しては原付の物ですので、記念所蔵すら認められていません。これらのナンバープレートは記念所蔵制度を用いて正式に入手された物ではないことは明らかです。
では、空き家の元の住人は一体どうしてナンバープレートの身を所持するようなことになったのでしょうか。
真っ先に思い付いたのは盗難ですが……流石にそこまでヤバいことはしていないと信じたいところです。モザイク処理をしているので分からないと思いますが、2枚のナンバープレートは同じ番号なので、もともと同じ車についていた前後の物が外されていることが分かります。真ん中のプレートには車の後ろのプレートに施される封印の跡もありますしね。
もしこれが違うナンバーだったりもっと複数枚あったりしたら完全に盗難を疑っていましたが……恐らくこれらのナンバープレートはもともと普通に所有していた車に付けられていた物だったのだと思われます。
では、空き家の元住人はなぜ自分の車のナンバープレートを所持することができたのか? それについてヒントになったのは空き家にあったこれらの残置物でした。
ナンバープレートのすぐ近くからは、恐らく軽トラの物であったのだろうバンパーの樹脂部品が出てきましたし……
空き家の入り口近くには、こちらも恐らく軽トラの物だったのであろうタイヤが積まれていました。
つまり、もと空き家の住人は「自分で軽トラの解体をして処分してしまった」ということなのではないでしょうか。
何らかの事情でディーラーやその他車屋に処分を依頼することができなかったのか、もしくは自分で解体することで処分費用を節約したかったのか……自分でいらなくなった軽トラを解体して、鉄部品に関しては鉄くず業者に買い取ってもらい、売れなかった部品だけが空き家に残された、ということなのかなと。
ちなみに自動車の解体に関しては「自動車リサイクル法」に基づいて個人においても都道府県知事等の許可が必要で、無許可で解体してしまった場合には1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられるようですが……
あれ? これヤバくね?
…………ま、まあもしかしたら車のバンパーじゃなくて、超巨大ミニ四駆のバンパーの可能性がありますから。まだセーフです。セーフのはずです。
④まとめ
やはり空き家の元住人がヤバそうな人だったということが分かりました。
あと、登録抹消の手続きをせずに所持し続けたナンバープレートがどうなるかについてですが、何年間か自動車税が課され続け、もしもその支払いをせずに滞納し続けた場合は、運輸支局側で「職権抹消」として強制的にナンバーの登録が抹消されるようになっているようです。
つまり、空き家で見つかったナンバーは恐らくすでに登録が抹消されていて使えないということですね。
穴あけしていないナンバーを所持すること自体に違法性は無いようなので、現時点で特に罪に問われるような事態にはなっていないと言えます。……車のバンパーらしき部品の件は正直不穏ですが。
どうか皆さんは、自分で勝手に車を解体して、勝手にナンバーを取り外して勝手に利用をしないようにお気を付けください。そのために「記念所蔵」という素晴らしい制度があるようですので、ぜひ利用してお小遣い稼ぎに利用しましょう。
以上で今回の記事は終わりです。
また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただきありがとうございました。