どうも、たかしです。

前回の記事では猫を狩猟して逮捕されてしまった大学院生の事件を元に、動物愛護法が定める所の「愛護動物」について考察していきました。

結果として、「『ノネコ』『ヤマネコ』以外の愛護動物に指定されている全ての『猫』は、みだりに傷つけたり殺したりしてしまうと刑罰の対象になる」ということが明らかになった訳ですが……

猫を取り巻く区分の図

では、「愛護動物」に指定されていない「ノネコ」であれば、狩猟しても絶対に問題は無いかというと、実はそこにも落とし穴があるのです。

実際に「愛護動物」でなく、むしろ「特定外来生物」「狩猟鳥獣」に指定され積極的に防除が推奨されている「ヌートリア」ですら、実際に狩猟して逮捕された事例が存在します。

今回の記事では、このヌートリアの事件を参考にしつつ、「鳥獣保護管理法」から読み解く「食べていい生き物、ダメな生き物」について考えていきたいと思います。

それではやっていきましょう。

①「狩猟鳥獣」とは

「狩猟鳥獣」とは「鳥獣保護管理法」により定められている、狩猟鳥類28種、狩猟獣類20種の合計48種の生き物を指します。

「狩猟鳥獣」は、「希少鳥獣以外の鳥獣であって、その肉又は毛皮を利用する目的、管理をする目的その他の目的で捕獲等の対象となる鳥獣(鳥類のひなを除く。)であって、その捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれのないものとして環境省令で定め」られています。(鳥獣保護管理法第2条7項より一部抜粋)

つまり、肉や毛皮が利用でき、捕獲してもその生息状況に影響はないとされている生き物が「狩猟鳥獣」に指定されるわけです。

「特定外来生物」との違いは以下の通りで

  • 日本在来の生物も含まれる
  • 爬虫類や魚類、植物などは含まれず、「鳥獣」のみが指定される
  • 生態系への影響や、人への害が無い生き物でも指定される

このことから、「特定外来生物」と「狩猟鳥獣」の指定目的の違いがよく分かるかと思います。

②「狩猟鳥獣」の捕獲制限

1.「特定外来生物」でもある「狩猟鳥獣」

「狩猟鳥獣」と「特定外来生物」の両方に指定されている生き物には、アライグマ、アメリカミンク、ヌートリア、タイワンリスの4種が存在するわけですが……

では、これらダブルで指定されている生き物は無条件で狩猟していいのかというと、そんなことはありません。

むしろ、「狩猟鳥獣」に指定されているからこその制限や規制があり、それに違反してしまえば罰則の対象になってしまうのです。

2.「狩猟期間」による「狩猟鳥獣」の狩猟規制

「狩猟鳥獣」は、狩猟してよい期間というものが定められています。それが「狩猟期間」です。

「狩猟期間」は以下のように指定されています。

狩猟鳥獣を捕獲してよい期間は、10月の始まりから1月の終わりまでの僅か4か月間ほどしかないということが分かります(北海道は1月半ほど後にズレる)。

このわずか4か月間以外の期間で「狩猟鳥獣」を捕獲してしまうと、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されてしまうのです。冒頭に紹介したヌートリア捕獲事件についても、捕獲した時期が3月ごろだったということで立件されてしまったということなのです。

3.その他の規制

その他にも、狩猟鳥獣の捕獲に当たっては「狩猟してよい地域」「狩猟につかってよい道具、捕獲方法」など様々な規制があり、素人が安易に手を出してしまえば違反事項に抵触してしまう可能性が非常に高いと言えます。

ちなみに、「狩猟鳥獣」でなければもっと自由に捕獲できるのかと言えばむしろ逆で、鳥獣保護管理法では許可なくし「狩猟鳥獣」以外の鳥獣を許可なく捕獲した場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金という思い刑罰を科すとしています。

結局のところは、「野生の鳥類・哺乳類は素人が安易に狩猟するべきではない」ということですね。

③まとめ

ここまで「動物愛護法」「鳥獣保護管理法」の観点から、「食べてもよい生き物、ダメな生き物」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

僕自身の感想としては、身の回りの生き物に対してここまで厳格で複雑な規制やルールが設けられているのだということにかなりの驚きを感じました。

特に、近年YouTuberの影響から、一般人がこれまでだったら専門家しか踏み入ることのなかった領分へ進出するという事態が多く見受けられるようになりました。その際に、法律やルールを碌に調べることもなく、その分野の方々へ迷惑をかけてしまったり、場合によっては逮捕され罰則を受けてしまったりといった事態が起きてしまっているようです。

どのようなジャンルだったとしても、新しい物事に取り組む際にはその分野のルールや規則・法律をしっかり調べて、周りに迷惑をかけないよう気を付けたり、自分自身が知らないうちに罪を犯してしまったりなんてことの無いように気を付けたいですね。

以上で今回の記事は終わりです。

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。