どうも、たかしです。

10月の初めに土地の売買契約を交わしてからもう既に1ヶ月ほどが経過しました。

思えば、元々は盆前には契約を交わして、その翌月には土地の引き渡しが済んでいるはずだったのがもう伸びに伸びまして、やっと契約まで行きついたのが10月でした。

土地に遥か昔の抵当権が残っているだとか、農地の購入のために農業委員会の許可がいるだとか、市道が通っていて抵当権が残っている土地は購入することができないだとか色々な問題がありましたが……。

農業委員会の面接を済ませ、土地の契約をし、手付金を支払い、空き家の整備を進め、僕の方は何の問題も無く小屋暮らしに向けての準備を進めていました。

このまま「契約時の予定通り年内までには何事も無く土地を手に入れて、来年から小屋の建築に取り掛かれる」と、そう信じていたのです……。

さてそんな折、不動産屋から一本の電話が入りました。

小屋根ちゃん

不穏な空気

たかし

まさか……まさか……っ

不動産屋は開口一番こう言いました。「たかしさん悪い知らせです」と。

不動産屋

売主さんの方で依頼していた司法書士が出した書類に

不備があったようで、相続登記申請が通りませんでしたw

もう一度書類を作り直さなきゃいけないので、

引き渡しは来年2月か3月ごろになりそうですww

バッ、馬鹿野郎ーっ!! 

不動産屋ァ! 何を言っている!? 

ふざけるなぁぁーっ!!

はい、ということでまたまた土地が手に入るまでが長引きました。しかも今回は「もし相続登記がこのまま上手くいかなかったら、土地の引き渡しができないかもしれない」とまで言われてしまいました。

ええ……マジでどうすんだよこれ。購入できなかったとしたら片付け代とかもらわないと割に合わないんですけど……。

とはいえ、契約まで済ませてしまった僕にできることは相続登記が上手くいくようにただただ祈るだけ……。世知辛すぎますね。

ということで、今回は土地の引き渡し期日が伸びる原因となった「相続登記」とは何なのかについて、腹いせに調べてみましたので分かったことを解説していきたいと思います。

以前も取り上げた、昨今問題になっている「空き家問題」と「相続登記」は実は密接な関係にあります。「相続登記の義務化」に関する法律が近年義務化されるといったニュースも聞き及んだ方はいらっしゃるのではないでしょうか。

それぐらい最近ホットな話題である「相続登記」について、その複雑な仕組みや義務化の内容、問題点について、考えていきます。

それではやっていきましょう。

①相続登記について

1.相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、その不動産の名義を亡くなった人から相続した人に変更することを言います。

不動産の名義は、持ち主が亡くなったからと言って自動的に変更されるわけではないようで、相続登記をしなかった場合名義はいつまでもその亡くなった方のまま登記され続けることになってしまう訳です。

2.相続登記をしないことによるデメリット

相続登記をせずにいつまでも不動産の名義が故人のままとなっていると、売買したり担保にしたりと言った、その不動産を使った経済活動ができなくなります

不動産を売ったり担保にしたりすることができるのは名義人のみであり、名義が故人のままになっているとたとえその時点での実質の不動産の持ち主・管理者だったとしても権利を主張することができなくなってしまうのです。

つまり、僕が購入を予定している土地は、過去の相続人が相続登記をせずに故人の名義のまま放っておいてしまっていたため、今回土地を売買するために過去にさかのぼって相続登記をしている状態ということなのですね。

3.相続登記をしないことによるメリット

しないことによるメリットと言うとなんか変な感じですが、相続登記する際には「登録免許税」と称してその不動産の固定資産税評価額の0.4%(1000万円の評価額ならば4万円)の税金がかかるので、当然相続登記をしなければそれを払わずに済みます。

ほかにも、続登記をするためには様々な書類を取り寄せる必要があるのでその費用も。

加えて忙しくて時間が取れなかったり申請が複雑で自分ではできないという場合には「弁護士」もしくは「司法書士」へ依頼することもあるでしょうからその依頼費

そしてそれら申請するための手間なんかも考えると、相続登記をしないことでこれらの労力・出費を割かずに済むというのは大きなメリットと言っても差し支えは無いような気がします。

事実これまで、相続登記の手間・出費を嫌って多くの人たちが相続登記をせずに不動産の名義を故人のままにしてしまってきており、それが日本の多くの「持ち主不明の土地」が生まれる要因となってしまったのです。

②相続登記の問題点

1.手続きが煩雑過ぎる。

上記でも述べたように、相続登記を申請するためには相続人が自身で様々な書類を取り寄せて用意し、かつ決して安くはない「登録免許税」を支払う必要性があります。

面倒くさそうですよね。これら書類をかき集めるために、役所に行ったり法務局に行ったり、郵送したりしてもらったり、他の相続人に話を付けに行ったり印鑑を貰ったり書類を取ってきてもらったり……

やることが…やることが多い……!!

そのくせ相続登記が行われなかったとしても、固定資産税だけは役所が相続人の中から勝手に支払い代表者を決めて納税を請求してくるっていう話ですから、あまりにも相続人に課されている負担が大きすぎるような気がします。

2.何世代にもわたって相続登記が行われていない場合

もし不動産の相続登記が何世代にも渡って行われていない場合、これはもうとんでもないことです。

以前、僕が購入予定の土地についていた何世代も前の抵当権について言及した記事の時にも似た話が出てきましたが、何世代も前から相続登記が行われていない不動産には、何十、下手したら百数十人の相続人がいる可能性があるのです。

世代をまたぐにつれ増える相続人の図

そして過去にさかのぼって相続登記をするためには、その想定されうる相続人全ての実印が必要なのです。しかも、もしその相続人のうち一人でも何かしらの理由でゴネたりしたらその時点で相続登記のステップはすべてストップ、場合によっては相続登記不可能なんて言う事態にすらなりかねないのです。

この手の話を聞くたびに思うことなのですが、もう「遥か過去の相続の不備」に関しては一旦チャラにするだとか、簡易的な手続きでもいいようにするだとかの方策をとるし解決の道はないんじゃないですかね。こんなのいつまでも放置してたら、日本に活用されない不動産がどんどん増えて行ってしまうばっかりだと思うんですが。

3.相続登記の義務化

そしてここに来ての令和6年4月1日から施工の「相続登記の義務化」ですよ。

もうね、アホかと。

その内容なんですが、なんと義務化に関しては過去に遡及して適応するということで、先に挙げたような遥か過去の相続登記の不備に関しても義務化が当てはまるというんですよね。

期限は「相続することが判明してから3年以内」もしくは「義務化以前の相続分に関しては、義務化が施工されてから3年以内」とのことなので、つまりは現時点で相続登記を済ませていない不動産に関しては全て今から3年半ぐらいまでの間に登記を済ませなさいということになります。

そして相続登記を怠った者については「過料10万円」ですと。……ハァ!?

それってもう要するに、今現在「遥か過去に相続登記を怠ってしまっていてどうしようもない不動産を所有している人」は10万円払えってことじゃないですか。やってることエグ過ぎません?

さらに言うと、この義務化の頭悪いポイントは「過料10万」という所に「相続登記をしっかりと行ってもらうよう促す」といった意図が全く感じられないことです。

だってそうじゃないですか? 遥か過去の相続登記を何とかしようと思ったら、どう考えても実際の労力・費用は10万円では済みません。だったら「じゃあ別に相続登記はそのままで10万の過料でいいや」って誰だって思いますよね?

なんなら、今後特に問題のない不動産を相続した場合も、そもそも正規に相続登記をするためにだって場合によっては10万円以上かかる訳ですから、そういう人たちですらこの「過料10万」では動かすことができない恐れがあります。

だからこの「相続登記の義務化」って、実際は全然「義務化」じゃなくって、単純に国に入ってくるお金の入り口を一つ増やして、不動産相続に関する国民の負担を更に増やしたってだけなんだと僕は思わざるを得ません。

これが「相続登記義務化」の闇です何とも馬鹿馬鹿しいですね。

※訂正

相続登記を怠った際の過料は、「正当な事情がないにもかかわらず」といった条件付きのもので、その「正当な事情」の事例として「相続人が極めて多数に登り(中略)多くの時間を要するケース」とあるようです。

等ブログのヘビーリーダーが一晩かからず調べ上げてくれました。ここに改めて感謝と謝罪をご報告いたします。

③まとめ

今回は昨今日本でも取り沙汰されている「相続登記の問題点」について考えていきました。

かなり愚痴っぽい文章になってしまいましたが、実際今現在僕はこの「相続登記」という煩雑で理不尽なシステムに振り回されている人間ですので、どうしても感情のこもった論調になってしまわざるを得ませんでした。

空き家問題が深刻化する中で、それを何とかしようという法案や政策が出るのはもっともなことだと思うのですが、それが今現在不動産を所有する人へのしわ寄せにばっかりなって、肝心の煩雑な手続きや税金の負担に関しては全部そのままになっているのはいただけません。

この問題を調べるにあたって見かけたとある司法書士YouTuberの方が提案していたように、義務化するならせめて「登録免許税」の負担は無くすとか減らすとか、そういった国側でも問題解決のために労力を分担するような姿勢を見せてくれないと、ほとんどの人は多少の過料があったって自主的に動こうとはしないのではないかと思います。

どうか皆さんも、自分に不動産の相続が降ってわいた時には気を付けてください。もしもそれが遥か過去から相続登記が行われていないような物件だったら、それはもう「過料10万円」が降って来たのと同じことですからね。不動産の価値によっては相続を放棄するのも一つの手なのかもしれません。というか、国はむしろそれを狙ってる説すらあります。

今回の記事はこれで終わりです。

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただきありがとうございました。