どうも、たかしです。

今朝、いつものように朝早く起きて庭先でタライを広げ洗濯をしていた時、あることに気が付きました。

吹く風が、空気が、昨日までと明らかに違う。

立っているだけでも体中じんわりと汗をにじませるようなあのモワっとした夏の空気が一転、そよりと肌を撫でるような涼やかな風が吹くようになりました。

辺りをあんなにも飛び交っていたコバエやらアブやらがひっそりと落ち着いて、近くの茂みからはまだ控えめなコオロギの鳴き声がチチチと聞こえてくるようになりました。

どうやらまだ8月も半ばだというのに、小屋が建っているこの山奥にはいつの間にやら秋がやって来始めていたようです。

今回の記事では秋へと移り変わろうとしている山奥の変化の様子と、小屋暮らしを通して観察してきた季節の移り変わりについて感じたことをお伝えしていきます。

①山奥と夏の終わり

僕が最初に夏の終わりを感じたのは、8月に入ってすぐのことでした。

以前住んでいた街中であれば、通常は9月前後に入ってから聞くことになるはずのツクツクボウシの鳴き声が、山の中に響いていたのです。

晩夏のイメージが強い……と思いきや、実際のところは他のセミより比較的早い時期に泣き始めるヒグラシの鳴き声は、もう6月ごろにはとっくに山奥では響いていたのですが、ツクツクボウシは間違いなく夏の終わりに泣き始めるはずの昆虫です。

最初は、「ずいぶん気の早いツクツクボウシがいたもんだな」と思っていたのですが、山の中から聞こえてくる鳴き声が1つ2つと聞こえてくるにつれて、山奥ではこの時期にツクツクボウシが鳴くのが普通なのだということに気づかされました。

山奥は夏でも涼しい……と思われるかもしれませんが、僕が住んでいるような標高が500mも行かないような所ではそこまで街中と日中の暑さは変わりません。

しかし、それでも夕方になって日が陰ってくると一気に空気が変わり、夜なんかは真夏でも割と涼しく過ごせてしまいます。

しかし、山奥の夜は本当に真っ暗なので、基本的に日が落ちてから外で活動することはありません。そのため、ここ最近は山奥の夜の空気という物を感じることも無かったのですが……。

ついこの前、8月に入って初めて夜に外に出て驚きました。風が吹けばちょっと涼しすぎるぐらいに空気が冷え込んでいて、辺りには虫の合唱が鳴り響き、もうすっかり秋の空気になっていたのです。

8月に入っても天気予報を見ると35度を超える予報が続いていて、僕自身基本的に小屋の中で過ごしていて、日中は直射日光で暑く、夜は滅多に小屋の外に出ない物ですから、ここまで空気が変わってきているということに気が付きませんでした。

山奥では、8月も半ばを過ぎてしまえば秋へと時期が入れ替わり始めるのです。

②山奥小屋暮らしと季節の移り変わり

山奥で小屋暮らしをしていると、日々見かける生き物の姿が移り変わり、季節という物は人間が感じるよりもずっと細かく変化していっているのだということに気づかされます。

4月の終わりごろ、まだ他の虫はそれほど多くは発生していない時期、大群で庭を飛び交っていたのはビロードツリアブという、地面近くを滑空するふさふさした昆虫たちでした。

庭を我が物のように飛んでいた彼らでしたが、5月になるとそれと入れ替わるようにどんどん多くの生き物が現れ始めました。

マダニやムカデ、スズメバチの新女王といった危険生物が現れ、僕の実を脅かし始めました。飛び交う蛾をヤモリが捕食する光景も何度も目にするようになりました。

6月、梅雨の時期にはカエルの大合唱が始まりました。最も盛んな時には夜耳栓が欲しくなるぐらいの騒がしさで、時には庭先にその姿を現し、ついには空き家の壁にさえカエルが張り付いているのを目にするようになりました。

7月、言うまでもなく辺りを行き交う生き物たちの大発生が始まりました。

トンボ・アブ・ハチ・バッタ・カマキリ・クワガタ……実に多くの生き物が空き家の周りを取り囲み、それは山奥で一人暮らしている寂しさなど感じる暇もないぐらいでした。

そして今、季節が秋へと移り変わり、空き家周辺の生き物たちはまたこれまでとは全く違った様相を呈すようになるのでしょう。

それが果たして僕にとって益のあるものになるのか、はたまたまた安全を脅かす新生物が姿を現すようになるのかは分かりません。

それが楽しみなような恐ろしいような……そんな微妙な気持ちで今大きな季節の変化を迎えようとしています。

③生き物たちの変化と僕自身の心境

日々を懸命に生き残るため、忙しなく季節と共に移ろいゆく彼ら生物たちの姿を見ていると、まるで自分だけが何も変わらず停滞しているような、そんな気分になることがあります。

確かにこの3か月間で小屋を建てて、今は畑作りのために農地の整備をしていたりと活動は続けていますが、それでも彼らの変化の速度には到底追い付けているようには思えません。

いい加減洗濯をタライでやるのではなく、水回りを整備して洗濯機を導入したい……。

空き家自体の改修だってしたいし、庭の草を全部取り去ってもっと安全に過ごせる環境だって作りたい……。

ですが、この秋へと移り変わる早朝の気持ちいい風に吹かれていると、まだもう少しぐらいは庭で洗濯をするのも続けていもいいかなと思えてきてしまうのです。