どうも、たかしです。

僕が現在小屋暮らしをしている山奥集落を少し下りた所に、それなりに立派な渓流があります。

画像はフリー素材

その渓流は流れがそれなりに穏やかで、水量も豊かで、橋がかけられていたり駐車場が整備されていたりと、ちょっとした観光地のようになっています。

最寄りの商店に行くときや街まで下りる時には必ず通る場所なので、休日になると駐車場に車が多少停まっているのを見て「ああ、それなりに人が来ているんだな」「僕もそのうち涼みに行くのもいいかもな」なんて思っていました。

しかし、7月の後半ごろから、世間的に夏休みだったりお盆だったりといった時期が近付くにつれて、その渓流沿いの様子がどんどんと変わっていきました。

訪れる人が増えていき、客層もお年寄り夫婦やガチのハイカー的な人たちからどんどん若い人や子供を引き連れた家族連れの割合が上がっていきました。

その中でも最も目に付くのが、渓流の道沿いにズラッと並ぶ路上駐車の列です。

先述したように、渓流には専用の駐車場が設けられているのですがなぜかそこではなく渓流沿いに走る国道の端に、20数台になろうかという大量の車が路駐をしているのです。

それを見て最初は「駐車場に入りきらないぐらいたくさんの人が来ているのかな」と思ったのですが、駐車場の様子を見て僕は驚愕しました。

駐車場の方はスカスカなのです。路駐車が移動しても収まるぐらいのスペースが空いているのにも関わらず、ほとんどの人は敢えて路駐をしているということなのです。

どうしてこんなことになっているのか、考えてみれば原因はすぐにわかりました。

専用の駐車場は、渓流からは国道を挟んで2~3分は徒歩で移動しなくてはならない程度に離れた位置にあります。加えて屋根も何もなく直射日光をもろに受ける立地にあります。

つまり、渓流に訪れたほとんどの人が「川から遠いし、直射日光で暑いし駐車場は嫌。川に近くて木陰で涼しい路駐でいいや」と判断して路上駐車を選択しているということに他ならないのです。

僕はそれを悟った瞬間、心の底から怒りと憎しみに打ち震えました。

どうしてこう、河原にBBQに来るような連中はいつだってこんな些細なルールすら守れず、よそ様に迷惑をかけることしかできないのか。自分たちさえ楽しければいいという考えの輩が多いのか。

だって、路上駐車は普通に邪魔なのです。渓流沿いの国道は2車線とはいえ、片側を何十メートルにも渡って遮られてしまっては、それを避けて運転する際に対抗車との距離が近くなって危ないのです。どうしてその程度のことも想像することができないのか。

こういう連中とは関わりたくないから山奥に逃れて小屋暮らしをしているのに、どうして奴らの方からやって来てしまうのか。

僕はもう腹立たしいやら自分の無力さに打ちひしがれるやらで、悶々とした日々を送っていました。

しかし最近、そんな僕の連中に対する評価を揺るがされるような衝撃の光景を目の当たりにしたのです。

今回の記事は、山奥集落の地域経済と夏に渓流へウェイしに来るパリピピーポーとの関係性、更にはその恩恵に知らずあやかっていた僕自身が衝撃を受けた出来事についてお伝えしていきます。

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②集落の商店で見た衝撃の光景

ある日、僕はいつもお世話になっている最寄りの個人商店(山奥集落から5分ほど行ったところの集落にある)へと、お昼ご飯を買いに訪れました。

その商店は渓流のすぐ近くにあるため、当然いつものようにずらりと並んでいる路駐をしり目にイラっとしつつも、気持ちを切り替えて商店の中へと入って行きました。

そこで僕は、中の様子が普段と全く違うことに気付きました。

普段であれば客は僕だけか、いたとしても1人か2人近所の人が買い物に来ているぐらいなのに、この日は見るからに若い20歳前後ぐらいの兄ちゃんらが5~6人ほどのグループで買い物をしているのです。

僕はそれを見て、「どうせ河原にウェイしに来た奴らが、ジュースとかちょっとしたお菓子位を買いに来ただけだろう」「全く、騒がしいし店内が狭くなるし最悪だ」と心の中で思っていたのです。

そんな奴らは見ないようにして、僕は僕自身の買い物を済ませようと店の商品を物色していると、店員と男性グループの会話が聞こえてきました。

「飲み物とかもたくさん買っていった方が良いよ。熱中症に気を付けて」

「そうっすね、そうします!」

会話の内容が気になり、僕はレジの方へと目を向けました。

そこにあったのは両腕で抱えるぐらいの大きさの発泡スチロールの箱の中に、いかにも「今からBBQします」といった内容の食材が山と積まれている光景でした。

彼らはなんと、BBQに使う食材をこの商店で全て購入している最中だったのです。この商店は個人経営でかつ立地の問題もあってか、正直市街地のスーパーと比べたら全ての品が割高だというのに……。

ただ自分一人が食べる分だけの昼食を買いに来ているおっさんと、食べ盛りの若者グループ分の食材を大量に購入しているウェイ達、どちらがより地域経済に貢献しているかは明らかでした。

③自分もまた、自らが嫌悪している連中の恩恵にあやかっているという嫌な気付き

僕は路駐の列を見て、その光景にイラつかせられるたび心のどこかで「あんな奴らはこの場所に来なくていい」「きっと地域の人たちだって同じように思っているはずだ」と考えていました。

しかし、実際はそんなことは無く、むしろ休みのレジャーとして渓流を訪れお金を落としていく彼らを地域は歓迎しているのです。

渓流沿いには最近、恐らくはこの季節限定であろう甘味の店がオープンしていました。その甘味処は明らかに料金設定がイカれていて、かき氷一杯が1000円を遥かに超えています。

僕はネットでその情報を見て「困難誰が買うんだよwww」と思っていたのですが、しかし渓流にひと夏の思い出を作りに来ている彼らは、その店の売り上げにも大きく貢献していることが見て取れました。

恐らく原価100円も行かないであろうかき氷が飛ぶように売れて、店の店主は笑いが止まらないことでしょう。

地域にある渓流をひと夏のアクティビティとして利用する彼らのことを、地域経済もまたたくましく利用しているのです。

そして何より僕自身も、ウェイ達が地域に金を落としていくことによる恩恵を受けているのです。

もしも渓流に観光客が訪れ無くなれば、確実に個人商店の経営に響いてくることでしょう。そうなれば商店は商品の仕入れに慎重になって品ぞろえが微妙になってしまったり、最悪商店自体が閉店してしまうなんて事態にもなりかねません。

そうなれば、僕自身も商店が無くなってしまうことによる不利益を被ることとなります。僕が住んでいる場所からまともに買い物ができるようなお店は、その商店を除いたら次は車で片道30分は掛かる街中まで下りて行くしかなくなるわけですから、明らかに生活は不便になります。

僕は人の迷惑も顧みず路駐しまくるような連中と関わりたくなくて山奥で小屋暮らしを始め、それでも目に入ってしまう彼らをここまで嫌っているというのに、その彼らによって潤っている地域経済の恩恵を一身に受けているという、何とも矛盾をはらみまくった状況に陥ってしまっているのです。

④今後心穏やかに生きていくために大切なこと

僕が最も嫌っている人種は、恐らくは僕よりよっぽどこの地域にとって需要のある存在だったのです。

ならばこそ、渓流沿いにずらりと並ぶ路上駐車にだって目をつむり、彼らと共に平穏に過ごしていく生き方を模索していかなければならない……

なんてことある訳無いですよね。良いから黙って駐車場に停めろ、ですよ。

彼らが地域経済にとって必要な存在であることは分かりました。

そして僕もその恩恵にあやかっていて、彼らには一方的に迷惑を受けているだけではないということも分かりました。

でもだからといって路上駐車してもOKなんてことにはなる訳無いですよね。ルールはルール、僕が彼らの愚行にイライラするのはいたって正当なことなんです。

どうやったらみんなが幸せになれるのか。穏やかに暮らせるのか……答えは簡単です。

「ウェイどもが路駐をせず、ちゃんとルールを守ってかつ地域経済にお金を黙って落として行ってくれれば、みんな幸せ僕も幸せ」

そんな未来がいつかやって来て、僕が心穏やかに過ごせることを祈ってやみません。

以上で今回の記事は終わりです。

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただきありがとうございました。