どうも、たかしです。

ここ最近、空き家の整備に移動する際にはいつも同じ道を通っているのですが、ここ最近ずーっと同じ場所に打ち捨てられているように放置されている自転車が目に付いていたんですよね。

自転車と言えば鉄の塊です。

「むむむ! ちょっとゴミを拾って社会貢献したくなってきちゃったな~♪って感じで、先日その自転車の様子を確認しに行ってきました。

見た感じ子供用っぽいサイズのこじんまりとした自転車でした。

なんだ、こんな小さかったら重量が出なくて高く売れな……げふんげふん、冗談は置いといて。

驚いたことに既に自転車には放置自転車警告カードが張られていて、自治体によってマークされているようでした。日付は撮影日の二週間前になっていましたから、ちょうど僕がこの自転車を気にし始めたころと合致します。恐らく地域住民によって通報が入ったのでしょうね。

とはいえこの自転車、所在地も防犯登録も何も無いし、恐らく元の持ち主の手によって移動されることは今後も起こり得ないでしょう。その内行政によって強制撤去ということになるのだと思います。

うーん、残念ながら当然。

今回の件もそうなのですが、少し町中から外れた森や山の中、河川沿いなんかに大量に不法投棄されているというのは現代社会において非常にありふれた光景となっています。それを見て「不法投棄されている鉄くずを売ればそれだけで生きていけるのでは?」と考えたことがあるのはきっと僕だけではないはずです。

そんな訳で、今回は「不法投棄されている物を拾って売却するのは問題にならないのか」について調べてみましたので、分かったことについてお伝えしていきます。

やっていきましょう。

①基本的に問題は無い……一部例外アリ

調べてみた所「不法投棄されている物を拾って売却すること」自体に違法性は無いということが分かりました。

それはなぜかというと、不法投棄された物は誰の物でもなく、自由に所有することができるためです。

不法投棄された物は誰の物でもない「無主物」となり、誰でも意思を持って占有することにより所有権を取得することができる。

不法投棄に限らず、元の持ち主が明確に破棄の意思をもって捨てた物については、元の持ち主はその所有権を失い、捨てられたものは所有者のいない「無主物」の状態となります。この「無主物」である動産については誰もが占有し、その所有権を取得することができるのです。

基本的に山奥や河川に捨てられているような家電や廃材、その他家庭ゴミなんかはどう考えても元の所有者が破棄の意思を持って捨てたことが明らかなため、それを新たに占有し所有権を得て売却することは何の問題も無いと言えるでしょう。

ただし、一部の例外……と言うより「完全に何の罪状にも抵触しないようにする」ためには、いくつか気を付けなくてはならないポイントも存在します。

次の項ではその例外の可能性について触れていきます。

②抵触する可能性のある罪状とその解説

1.窃盗罪

不法投棄なのに窃盗罪?」と思われるかもしれません。ですが、一見不法投棄に見えたとしても、もしそれが誰かの所有物であった場合、拾って売ってしまえば窃盗罪に該当してしまうのです。

では、「不法投棄ではなくて誰かの所有物だった」場合にはどんなものが考えられるでしょうか。

例えば……

  • 公道や公園などの国有地に捨てられていた物が、行政が撤去に向けて動き出している場合→暫定的に自治体が所有者になっている可能性
  • 森林や河川の不法投棄→そこが私有地であり、その土地の所有者の専有物である可能性

このように、一見して不法投棄されていて誰の所有物でもないように見えても、実は土地の所有者などによって占有されている物であるかもしれません。そしてそれを勝手に拾って売却してしまえば窃盗罪に当たってしまう可能性があるのです。

それが「無主物」であるかどうかは、見た目だけでは分からない。

2.占有離脱物横領罪

遺失物横領罪とも呼ばれ、平たく言うと「誰かの落とし物や忘れ物を勝手に自分の物にした」場合に適応される罪状になります。

落とし物や忘れ物のような、「所有者の意図しないところでその占有を離れてしまった物」を「遺失物」と言います。「遺失物」はあくまで占有を離れてしまっただけで、所有権は元の持ち主に変わらず帰属しているのがポイントです。「遺失物」を元の所有者の許諾無しに占有してしまうことは許されません。

「占有していないこと」が即ち「所有権を放棄している」ということにはならない。

では、明らかに意図をもって捨てられているような不法投棄物が実は遺失物だったというのはどのような場合が想定されうるでしょうか。

恐らくですが、そのようなパターンで最も多いのが自転車ではないかと思われます。

自転車が「落とし物」もしくは「忘れ物」になることはまずないとは思いますが、しかし「誰かに盗まれ、勝手に使われてしまった自転車が、用済みになって捨てられる」ということはあり得るのではないかと思います。

その場合その自転車は所有者の占有を離れてはいますが、所有権は間違いなく元の持ち主に変わらず帰属しています。更に自転車であれば住所記載や防犯登録により元の持ち主の特定もできるため、なおさら「遺失物」であることの証明は容易だと言えます。

そのため、ぱっと見は不法投棄されているように見えるボロボロの自転車でも、何の確認も無しに拾って売却してしまえば「占有離脱物横領罪」に当たってしまう可能性があるのです。

3.住居侵入罪

こちらは上記の2つの材譲渡は若干毛色が異なりますが、不法投棄物を回収しようと他者が所有する建造物の敷地に侵入してしまった場合、この罪状に当てはまる可能性が出てきます。

建物も何も経っていない異様な空き地だった場合には、侵入しただけで罪に問われることは無いようですが、それでも民法上の「不法行為」として成立してしまえば賠償金を支払わなくてはならない可能性があるようです。

③まとめ

今回は「不法投棄されている物を拾って売却しても問題は無いのか」について調べて分かったことを解説していきました。

結論としては「問題は無いが、様々な要因によって何かしらの罪状が付く可能性があり、注意を要する」ということなのではないかと思いました。

捨てられている物が本当に「不法投棄されている物」なのかどうかを判別するための要素として、「所有権」という目に見えない、かつ非常にあいまいな物が大きく関わってくるため、手を出してしまうと厄介な事案に発展してしまう可能性が非常に高いというのが実際の所なのかなと。

それでも、どうしても不法投棄されている物を拾って売却したいという場合には

  • 不法投棄されている場所は国有地か私有地かチェック
  • 土地の所有者の占有物でないか、捨てられている物に持ち主に関する情報が無いかなどを確認して、それが本当に「無主物」であるかを可能な限り調べる
  • 土地の所有者の許諾を得る

などを念入りに行い、加えて「最悪厄介ごとに巻き込まれても構わない」という覚悟を持って行う必要があるでしょう。

そのぐらい、不法投棄物には基本的に当事者外の立場から気軽に手を出すべきものではないなと、調べながら感じました。

皆さんも、どうか不法投棄されている物を拾って売ろうとするときにはお気を付けください。

以上で今回の記事は終わりです。

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただきありがとうございました。