どうも、たかしです。

僕はこれまで、「建築確認申請」と「小屋暮らしの」の不親和性について散々熱弁してきているですが……

建築確認申請と小屋暮らしの不親和性話①
建築確認申請と小屋暮らしの不親和性話①

ここまで悪しざまに書いていると、まるで建築確認申請が悪者のように思えてきてしまいますが、そんなことはありません。建築確認申請は、私たちが安全に生活を送るために必要な制度ですし、僕だって別に憎くて建築確認申請のことを悪く言っている訳ではないのです(たぶん)。

ただ、日本の建築確認申請制度が、小屋暮らしを目指す身にとってはあまりに厳しすぎるのもまた事実なわけで……。

ということで今回の記事では

「そもそも建築確認申請とは何なのか?」

「確認申請無しで小屋を建てるにはどうしたら良いのか?」

これらについて解説していきたいと思います。

①「建築確認申請」について

1.建築確認申請の定義

「建築確認申請」については、「建築基準法」の第6条にその記載があります。

 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

建築基準法第6条1項より一部抜粋

非常に長ったらしく難解な文章ですが、要約すると

「建物を建築する時に、1~4のどれかの条件に当てはまる場合には、きちんと基準に沿った建築になっているかどうか確認するための申請書を出さなきゃだめだよ」

ということになります。

2.建築確認申請が必要となる条件

では、その4つの条件はどういうものかというと、以下の通りになります。

  1. 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物1で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
  2. 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
  3. 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
  4. 都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

建築基準法第6条1項より一部抜粋

  1. 学校、病院、百貨店など特殊な目的のために建てられる建築物 ↩︎

上記を要約すると

  1. 学校、病院、百貨店などの建築物で床面積200㎡を超える場合
  2. 木造で、「3階以上」or「床面積500㎡、高さが13mもしくは軒高が9mを超える」場合
  3. 木造以外で、「2回以上」or「床面積200㎡を超える」場合
  4. 都市計画区域or準都市計画区域or準景観地区or都道府県知事が定めるその他区域内の場合

このいずれかに当てはまる場合に、建築確認申請が必要となるということになります。

②建築確認申請無しで小屋を建てる条件

小屋暮らしを目指す場合に関係してきそうな条件は、「2:木造の条件」と「4:区域条件」となりそうですが、小屋で3階以上だったり床面積が500㎡を超えるものを建てようという人はまずいないでしょう。

そのため、実質小屋を建てる際に建築確認申請を出す条件として関係してくるのは「4:区域条件」のみと言うことになります。

それぞれの区域について説明すると……

  • 「都市計画区域」には「市街化区域」と「市街化調整区域」そしてそのどちらでもない「非線引き区域」があります。
  • 「準都市計画区域」は、「都市計画区域」の外にあって、将来的に市街化の可能性が見込まれる土地が指定されます。
  • 「準景観地区」とは、いろいろ複雑な区分があるようですが、簡単に言えば「観光地などの、景観を維持するため建築が制限されている地区」にあたります。

図にすると以下のような感じです。

この図で言うところの灰色部分、「区域外」の土地のみが、確認申請無しで小屋を建築できる(「2:木造条件」に引っかからない小規模な建物のみ)土地ということになります。

なので、確認申請無しで小屋暮らしを始めたいという方は、まず初めに「区域外」の土地を探すところから始める必要があるのです。

③もう1つの抜け道的方法は……

実は、上記のような「区域外」の土地以外でも、確認申請無しで自分で小屋を建てて暮らすことができる方法があります。

それは、「もともと母屋のある土地を購入し、その増築部分という体で小屋を建てる」という方法です。

「建築基準法」の第6条2項にはこのような条文があります。

 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。

建築基準法第6条2項

「増築」と聞くと、既にある建物を延長して1部屋増やすだとか、もしくは部屋自体を広くするだとかのイメージがあると思いますが、実際には建築基準法上に「増築」の明確な定義はなく、単に建物の床面積を追加で増やす建築をざっくりと「増築」と呼んでいるにすぎません。そのため、同じ敷地内に別棟で小屋を建てる場合でもそれは「増築」に当ります。

「一つの敷地には一つの建築物しか建ててはいけない」という、「一敷地一建物の原則」というものがありますが、離れや倉庫のような、実質的に母屋が無くては住居としての機能を果たすことのできない建物については、「用途状不可分」の関係にあるとされ、まとめて「一つの建物」として取り扱われます。そのため、敷地内に小屋を増築することは「一敷地一建物の原則」に反することはありません。

床面積が10㎡以内の増築であれば、「区域外」ではなく「都市計画区域」の土地であっても小屋の建築に確認申請は必要ありません。であれば、「ボロボロでもいいので安い空き家が残っている広い土地を購入し、小屋はあくまで母屋の増築部とする」という方法をとれば、「都市計画区域」であっても小屋暮らしを始められるということになります。

ただし、注意点としてはその土地が「防火地域」「準防火地域」に属している場合には、たとえ10㎡以内の増築であっても確認申請が必要になってしまうということです。

先の条文を読み解くと、あくまで「防火地域及び準防火地域外」の場合の記述をしているのであって、屋根や壁の材料一つとっても厳しい制限のある「防火地域」「準防火地域」については、どんなに小規模な小屋であっても許可なしに建てることはできません。注意しましょう。

④まとめ

ここまで、「建築基準法」の条文を読み解きながら、「建築確認申請」の必要なく小屋を建てることができる条件について解説してきました。

方法は大きく二つ

  • 「区域外」の土地に、「2:木造条件」に当てはまらない程度の規模の小屋を建てる
  • すでに母屋のある土地に、増築部分として床面積10㎡以内の小屋を建てる

ということでした。

やはり前者の、「区域外」の人里離れた広大な土地に、余裕もって小屋を建てて悠々とした生活を送るのは憧れます。

ですが後者の、「都市計画区域」内のインフラが整った便利な土地に空き家不随の安い土地を買って、空き家を倉庫として使いつつ不自由なく小屋を建築し生活する方法も、「区域外」の土地には無い良さがまたあるのではないかなと思いました。

自分の小屋暮らしに対する価値観や、現在住んでいる土地との兼ね合い、そして資金面など、様々な条件を吟味して自分に合った小屋暮らしスタイルがあると思います。

それを見つけるための一助に、この記事がなれば幸いです。

以上で今回の記事は終わりです。

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。