どうも、たかしです。
以前、小屋の窓の設計について考えた記事の導入で、「購入予定の土地の不動産屋さんから呼び出しがあって、購入できる土地の面積が減るかもしれないのでその説明を受けてくる」といった旨のお話をさせていただいたことがありました。
先日不動産屋さんに行って、実際に話を伺ってきました。
その時の話と言うのが非常に複雑で、「何でこんなことになってるんだ!?」と驚愕の事実ばっかりでした。
まだ完全に契約できている訳ではなく、言ってしまえばよそ様の土地の事情のことですので、あまり具体的なことはお話しすることはできません。ですが、これはぜひ色々な人に伝えたい・知ってもらいたいと感じましたので、具体的な事情は伏せつつもどのようなことがあったのか概要を何回かに分けてお話ししたいと思います。
今回の記事のテーマは「抵当権」についてです。
小屋根ちゃん
抵当権? 何だそりゃ
たかし
次の項でまず「抵当権」について解説するよ!
昨今増加していて話題になっている「空き家問題」とも関連のある話題だと思います。今現在、日本の土地に何が起こっているのかをぜひとも知っていただきたいと思います。
それでは、やっていきましょう。
①抵当権とは
抵当権とは、基本的には物件をローンを組んで購入する場合に、債務者(お金を借りる人)が「ローン返済が滞った際には債権者(お金を貸している人)に対しローン返済の代わりに物件の所有権を明け渡しますよ」という権利を債権者に設定する担保権になります。
簡単に言えば、「抵当権がついている物件は、ローンが払えなかったら場合に差し押さえられてしまう物件」ということになり、住宅ローンを組んで購入されている物件には基本ついているものになります。
その物件に抵当権が付いているかどうかは、基本的には登記簿に記されています。\
抵当権と似ている担保物権に「質権」があります。
では、この「抵当権」と「質権」の違いは何かと言うと、「質権」が担保とされる物を債権者が「占有」できるのに対し、「抵当権」は担保とされるものを債権者は「占有」するのではなく、債務者が所有し営利活動にも利用できるという点にあります。
つまり、住宅を購入するためにローンを組む際に、担保として「質権」を高価な宝石などにつけてしまった場合ローンを返済し終わるまでその宝石は債権者の所有物になってしまうのに対し、住宅に「抵当権」を付けた場合にはその家に住むことができるし、その家を商売に利用したり、何ならその家を売却することだってできてしまう訳です。
不思議ですよね。「じゃあ売却した場合には抵当権はどうなるんだ?」って話ですけど、当然ながら抵当権はその物件に残り続けます。
分かりやすくするために、「Aさんが銀行からローンで購入した抵当権つきの物件をBさんに売った場合」を考えた場合……
- Bさん、Aさんより住宅を○○万円で購入
- その後Aさんの銀行へのローン支払いが滞る
- 銀行、抵当権を実行。物件が差し押さえられる。(Bさんの手元には何も残らずお金も帰ってこない!)
というストーリーがありえてしまうわけです。理不尽ですよね。
小屋根ちゃん
抵当権のついてる物権なんて買いたくない!
たかし
まあそれが普通だよね、なんだけど……
一体なぜこれだけの尺を用いて抵当権についてご説明したのかと言いますと、もう察せられた方もいるかとは思いますが……。
そうなんです。僕が購入しようとしている土地の一部にはこの「抵当権」がつけられているのです。
小屋根ちゃん
え、馬鹿じゃん! 騙されてんじゃないの!?
たかし
小屋根ちゃん、実はこれは普通の抵当権じゃないんだよ
ですが、その抵当権というのが、「遥か昔につけられた抵当権」なのです。
小屋根ちゃん
遥か昔って……どのくらい前なん?
たかし
貨幣価値が全然違うくらい昔だよ。
少なくとも僕たちのおじいちゃん世代の更に昔だね
抵当権を設定した頃の当事者は全員亡くなっており、すでに数世代経っており、金銭の価値基準も現代とは全く異なる物です。あまり具体的な金額は言えませんが、抵当権に記載された債務額が1万円にも満たない物でした
②遥か昔の抵当権について
それでは、この遥か昔の抵当権が一体どのようなものなのかを説明していきます。
まず先に申しておきますと、この遥か昔の価値基準で設けられた抵当権の債務額が、現代の価値基準に換算されてしまうというようなことはありません。
100円の債権であればその債務額は100円のまま。もし仮に購入後に抵当権を行使されてしまったとしても、私が債務者に代わってその100円を返済すればいいだけであり、それは法的にも認められています(第三者弁済)。
小屋根ちゃん
いやいや、もう当事者が亡くなってるのに
実行なんかされないでしょ。何、幽霊?
たかし
小屋根ちゃん、実は抵当権も相続されていくんだよ。
貯金や物件・借金が相続できるように抵当権も相続の対象に入ります。つまり、この物件の抵当権を相続した人が「100円返すか物件よこすかしろよ!」と主張をしてくる可能性はあり得るわけです。
しかし、在り得るとは言ってもその可能性は限りなく0だと言えます。なぜならば、この遥か昔につけられた抵当権を相続しているであろう人は100人以上に渡っているからです。
小屋根ちゃん
ひゃ、ひゃ、100人!?
恐らくですが、この抵当権を相続している人は、自分がそんなものを相続していると自覚すらしていないでしょうし、もし万が一自覚していたとしてもその抵当権を実行するためには100人以上いるであろう相続人全員の同意が必要なわけで、しかもそれで得られるものは1万円にも満たない額ですから、もうそん抵当権は存在していないも同然であると言えます。
たかし
だからこの抵当権は何の問題も無い……
はずだったんだけどね
小屋根ちゃん
不穏な空気
③「遥か昔の抵当権」と絡み合う2つの更なる問題→次回へ続く
とある2つの事情が絡み合って、この抵当権に100人以上相続人がいることが僕にとって厄介な問題を引き起こすこととなってしまいました。
その2つの事情とは「抵当権の付いている土地が農地であったこと」と「抵当権の付いている土地に公道が通ってしまっている」ということでした……
まだまだ長くなりそうなので、次回の記事に続きたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。