どうも、たかしです。

私がコオロギを繁殖目的で飼育するようになって、そろそろ3ヶ月以上が経過します。

最初に購入してきたコオロギ達が卵を産み、その卵から孵化した子達が成虫になってまた卵を産んで、また孵化して……といった感じで現在3代目に当たる幼虫たちを飼育しているのですが……。

これだけ長くコオロギを飼育していても、未だに試行錯誤しながら少しでも効率の良い飼育の仕方を日々研究する毎日です。

その中でも特に頭を悩ませながら、あーでもないこーでもないと、形式を変えつつ素材を変えつつ日々改良しているのが「コオロギの水飲み場」になります。

コオロギも生き物である以上、水分を摂取できなければ数日と持たずに死んでしまうため、常にケージ内には水を補給できる場所を用意しておく必要があるのですが、これがなかなかどうして一筋縄ではいかないのです。

今回の記事では、コオロギ飼育ケージにおける水飲み場の抱える問題点と、それを解決するためにこれまで僕が実践してきた水飲み場のメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

それでは、やっていきましょう。

①コオロギ飼育における水飲み場の課題

1.コオロギが溺れる

まず、真っ先に思い浮かぶのが「小皿に水を入れてケージに入れておく」という設置方法だと思いますが、これは非常によろしくありません。

なぜなら、コオロギはあっさりと水場に飛び込んで、そのまま溺れて身動きが取れなくなって死んでしまうからです。

コオロギは馬鹿です。なので自分が泳げないことも忘れ、水を飲むことだけを考えて行動してしまいます。なので、最低限水飲み場はコオロギの脚が付くぐらいの深さにしなくてはなりません。

とはいえ、そんな浅さでは水がすぐに蒸発してしまい、水足しの手間が増えます。なので、上記写真のように足場となるようなネットを水場にかけておくのが求められます。

2.コオロギは湿気に弱い

皿に水を溜めておくだけの水場がおススメできない理由はもう一つあります。それは、コオロギは湿気に弱く、水場から蒸発する分の湿気だけでも致命傷になりかねないという点です。

コオロギは、生きていくために水分は必要だけれども乾燥した環境を好み、湿気の多い場所では弱って死んでしまうという矛盾をはらみまくっている生き物です。そのため、蓋を付けて飼う際にはケージ内に除湿剤も投入しておかないと毎日1割ほどのコオロギが死亡していくという脆弱っぷりを発揮します。

飼育開始当初、毎日数匹☆になっていくのコオロギの図。

そのため、水場はできるだけ水面が大気に露出することの無いようにしなくてはなりません。

水面を出さずにどうやってコオロギに水を飲ませるのかというと、「水の染み込んだ素材を介してコオロギに水を吸わせる」といった方法がもとめられます。

このように、水が染み込みやすい布やヒモのような素材をケースに通し、水の毛細管現象を利用してコオロギに給水をするのが一般的なコオロギ飼育における水場の形になります。

市販品でも似たような物が1個500円~800円ほどで販売されていますが、この位であれば自分で作るのも難しくはないと思います。

100均で素材を揃えれば一個当たりの材料費は30円もかかりません。具体的な作り方はこちらの記事にも載せていますので、少しでも節約したい方にはお勧めです。

ただ、写真のような高さのあるプラスチックケースの場合コオロギが登ることができませんので、別に足場を用意してやるか、ケースの側面を紙やすりで削ったりしてコオロギが水場に到達できるように補助してあげる必要があります。

写真のように排水口ネットを被せるのもオススメ。

3.勝手に水場に卵を産む

こちらはコオロギが成虫になって、卵を産むようになってからの時期限定の課題になります。

コオロギのメスは、少しでも水っ気のある場所を感知すると所かまわずに産卵する習性があります。例え別で卵を産むのに最適な産卵床を用意していたとしても、そんなこちらの意図はお構いなしに水場に産卵をしてしまうのです。

これの何が問題かというと、特に大量に繁殖している場合の話ですが、卵が水場で腐ってウジが発生したり、水場の素材がボロボロになってちぎれてしまったりといったことが起きてしまいます

4.水飲み場を噛みちぎる

こちらも、主に成虫になってから発生しやすい問題になります。

先ほどの「水飲み場への産卵」行為でも水飲み場の素材がボロボロになるといったことを問題として挙げましたが、そもそもからして、水飲み場の素材に柔らかい布系の物を使用していると、コオロギ達は余裕でその素材を噛み千切って破壊してきます。

これも恐らくは大量繁殖の弊害かとは思われますが、成虫の強靭な大あごはプラスチック製の網戸を破壊してしまうぐらい強いので、水を搾り取る際にコオロギが噛み噛みした結果、「塵も積もれば」理論で水場を破壊してしまうものと推測されます。

コオロギの大あごによって破壊された網戸

これは本当に困った問題で、紐素材の場合、コオロギは大体1週間もあれば噛み千切ってしまいます。その度に紐を交換するのは手間ですし、別に高価ではないとはいえ紐をいちいち買い足さなくてはならないのも面倒です。

5.若齢幼虫の水飲み場問題

こちらは孵化したばかりの幼虫に関する水飲み場の問題です。

生まれたばっかりの若齢幼虫は非常に小さく、ピンセットの先っぽぐらいの大きさしかありません。

このサイズのコオロギは見た目通りに「ピンヘッド」と呼ばれる

この時期のコオロギはとにかく脆弱です。指でつまめば潰れるし、ちょっとした水滴の表面張力にも抗えず速攻で溺れて死んだりと、命が儚過ぎてイライラするレベルです。

そのため、水場には大人と同じものを使うのが難しくなります。なぜならば、水の染み込んな布素材レベルでさえ、その表面ににじみ出た水分の張力に抗えず死んでしまう個体が多く発生するからです。

そのため、若齢幼虫用には大人用とは別に「染み出る水分量が少なめの水飲み場」をセットしてやる必要があり非常にめんどくさいです。

さらに言えば、水交換のしづらさの問題もあります。

若齢幼虫の水飲み場に、最初は上記写真のようなタレビンの口に丸めたティッシュを詰め込んだ形式のものを使用していたのですが、これがもう水替えがやり辛くてしょうがなくてすぐに止めてしまいました。

若齢幼虫が死んでしまわないよう、ピンセットで何とかティッシュを取り除いて、水を入れてもう一回ティッシュを詰めて、そして水飲み場をもう一度置く際にも幼虫をつぶしてしまわないよう気を付けて……水替えの度にこんなに気を使っていたら一日が終わってしまいます。

そのため、水飲み場を動かさなくても給水ができるような形式の水飲み場を開発する必要性がありました。

②現在使用している水飲み場紹介

さて、長々とコオロギ飼育における水飲み場の問題点をあげつらってきましたが、ではこれらの問題をすべて解決できる水飲み場など存在するのでしょうか?

本音を言うと、僕の中でも未だに答えが出ているとは言い難いのですが、それでも現時点で良い感じに運営できている水飲み場の形がありますので、そちらの方をご紹介していきたいと思います。

1.水飲み場の素材

現在僕は、水を染み込ませる素材としてアロマディフーザースティックを使用しています。

ニトリで300円ほどで購入。少しお高いが、100均の物より太くて頑丈。

これまで解説してきたように、水場の素材は

  • 吸水性が高い
  • 卵を産みつけられない
  • 噛まれても千切れないぐらい頑丈

であることが条件として挙げられます。色々試した結果、今のところはこのアロマディフューザースティック(今後アロマ棒と表記)が最適なのではないかと考えています。

まず、このアロマ棒はもともとアロマエキスを吸い上げて香りを発散させるための物なので、吸水性に関しては問題ありません。

そして、布やヒモに比べて圧倒的に硬く、細くて頑丈です。そのため卵を産みつけられる心配も無ければ、噛み千切られる心配もほとんどありません。

また、吸水性はありつつもそこまで水量を保つ力は無いのがポイントで、若齢幼虫が表面の水分に吸い付けられて死んでしまうことも無いため、孵化直後から成虫まで万能に使用できる素材として期待ができます。

2.水飲み場の形

ある程度大きくなったコオロギには、このアロマ棒を100均の蓋つきプラコップに穴を開けて刺して水場にしています。

この水飲み場の素晴らしい点は、プラコップ自体が100均で手軽かつ大量に手に入るためコストが安く済むことと、水足しをする際にはストローの差込口から水差しを使って直接注入できることです。

ただし、コップの高さを当然コオロギは登れないため、シェルターを積んで足場を作ってやらないとコオロギが水場に到達できいのがネックであり、大量飼育している人向けの形式にはなります。

アロマ棒は期待していた通り頑丈で、投入してからしばらく経ちかなり噛まれた跡が目立ってきていますが、それでも千切れる様子は今のところありません。

一方若齢幼虫などの脆弱なコオロギには、これまた100均のタレビンにアロマ棒を刺して水飲み場にしています。

そのままでは当然若齢幼虫が水飲み場に到達できないので、またまた100均の紙カップを間に取り付けることで足場にしています。

先述したように、アロマ棒は吸水性はありつつも給水量はそこまで無いため、若齢幼虫でも溺れることなく水分の補給ができるようになっています。

また、タレビンにストロー差し込み口と同じような切れ目を入れておくことで、いちいちタレビンの口を開けなくてもそこから水足しができるようになっています。

③まとめ

ここまでコオロギ飼育における水飲み場の課題と、それに対応した水飲み場の紹介をしてきました。

コオロギ飼育において水場は必須であるにもかかわらず、コオロギが死なずに給水するためには様々な課題があり、かつ手間のかからない水飲み場を開発するというのは容易ではありません。

それでも、大量繁殖を継続的に続けていくには、できるだけメンテナンスいらずで効率よく給水できる水飲み場が絶対に必要になってきます。そのために、今後も問題が起き次第それに対応して、より完璧な水飲み場目指して研究していこうと思います。

この記事が、コオロギ飼育の水飲み場問題にお困りの方の一助になれば幸いです。

以上で今回の記事は終わりです。

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。