どうも、たかしです。

僕は現在小屋ぐらしを目指して、購入予定の土地に付随してきた空き家の整備を進めているところなのですが……

まだまだたくさんの物が残っている空き家の居間の片づけの様子

作業を進めていく中でとある問題が判明しまして、なんと空き家からすぐ近くの藪の中にオオスズメバチが巣を作っていて、頻繁に蜂が出入りしていたんですよね。

しかも、空き家の外をブンブンしているだけならともかく、一回作業中空き家の中にまで入り込んできたことがありまして……あの時は流石に肝を冷やしました。

そんなことがあって、オオスズメバチの活動が治まる12月以降まで空き家に通うのは一旦中止しようかどうか迷っていた。

それでも11月に入ったら巣がちょっとは落ち着くかと思ったら、なんとこれまで以上に大量のハチが異常なぐらい巣の周辺をブンブン飛び交ってしまっているという事態に……ピーク時なんか空き家の中にいても屋外のハチの飛行音がよく聞こえてくるぐらい超活発なんです。

今回、その様子をかなりの至近距離で撮影することに成功しました。それがこちらの動画です。

普通にヤバくないですか? 別にこれ、僕何もしてなくてこの飛び交いようですからね。

ただ、実はこのオオスズメバチの異常な飛び交う姿、とある理由があることが判明したのです。そしてその結果、このオオスズメバチたちにはそこまで危険性が無いと分かっていたからこそ、ここまで至近距離まで近付くことができました。

では、このオオスズメバチたちが飛び交っている理由は何なのか? なぜ安全だと分かったのか?

今回は調べてみて興味深かった「11月のオオスズメバチの生態」についてお伝えしていきたいと思います。

それではやっていきましょう。

①11月のオオスズメバチの巣の様子

オオスズメバチ含め、多くのスズメバチ種にとって11月とは「次世代の営巣に向けての繁殖期」に当たる月です。

スズメバチは9~10月あたりに最も巣が巨大化し、気性も荒くなると言われています。

なぜその時期にスズメバチが獰猛になるかと言うと、全ては次期女王バチとなる幼虫を守るためです。

スズメバチの巣は一代限りの物で、冬季に入ると全ての働きバチが死亡し巣はもぬけの殻となります。ではどのようにしてスズメバチが生き延びるのかと言うと、「次期女王バチ」のみが巣から飛び立って、地中や朽ち木の中などの中に潜り込むことで越冬することで春まで生き延びるのです。そうして春になったらその生き延びた女王バチがまた営巣を開始して……と言うようにスズメバチの生活サイクルは成り立っています。

9~10月は次期女王バチとなる幼虫が巣の中で発生する時期であるため、次期女王が越冬できるだけの体力を得られるよう働きバチは必死で餌の確保に勤しむことになります。そのため普段よりも活動範囲を広げて狩りをしたり、時には他のハチの巣を襲いに行ったりするなど、より狂暴化が進みます。

最も人が刺される被害が発生するのもこの時期で、人目に付く頃には巣が巨大化して狂暴になっているため一般人では手の出しようが無くなってしまっているということですね。

つまり11月のスズメバチの巣では次期女王が羽化してきており、巣としては最終段階に入ってきているということなのです。

②飛び交っているハチの正体

11月は、十分に栄養を蓄えた次期女王バチが交尾をして次世代の種を得てから越冬するための場所を探す時期になります。

そのため、次期女王は交尾をする相手を探すために巣から飛び出していきます。加えて、次期女王と交尾するためにフェロモンを追ってやってきたオスバチも巣の周辺を飛び交うことがあるようです。

つまり、僕が目撃した異常なまでに巣の周辺を飛び交っていたあのハチたちは、「女王バチが飛び立つのを出待ちするオスバチ」もしくは「飛び立ってすぐの次期女王バチ」だと考えられる訳ですね。

ここで重要なのが、基本的にスズメバチの中で人を刺す危険があるのは「働きバチ」だけだということです。

次期女王バチはよっぽど身に危険が迫らない限り人を襲うことはありません。女王バチの役割は「初期の巣作り」と「卵を産むこと」であり「巣を守ること」ではないからです。余計な体力を使ってしまっては越冬して春に営巣して卵を産むまでの体力を失ってしまいますから、まず自分から人を襲うということはしないはずです。

オスバチに至ってはそもそも毒針を持っていません。ハチの毒針とは産卵管が変化した物であり、オスの体には存在しない物です。見た目は働きバチと大差ないため、大きな音を立てて飛び交う姿は恐ろしげではありますが、オスバチの目的は「次期女王バチを見つけて交尾すること」だけです。そのため、イタズラに手を出せば噛まれるぐらいのことはあるかもしれませんが、自分から人を襲うということはまずありえないでしょう。

以上のことから、11月に巣の周辺を飛び交っているスズメバチたちの危険性は非常に低いということが分かったため、冒頭の動画を撮影することもできたということです。

③補足……他のハチの場合

1.アシナガバチ

アシナガバチはスズメバチ科に属する非常にスズメバチとは近縁の種なのですが、11月ごろにはもう巣は空っぽになってしまっていることがほとんどのようです。

アシナガバチの巣もスズメバチと同じく一代限りの物なのですが、スズメバチよりも越冬時期は一ヶ月ほど早く、9~10月には狭い巣にみっちりと密集しているのですが、11月に入ると次期女王バチ以外は寿命を迎え、次期女王が去った後には空っぽの巣だけが残るということですね。

実は今年、僕の住んでいる部屋のベランダすぐ近くにアシナガバチの巣ができまして、でも非常に大人しかったので放っておいたいたんです。それがつい先日一匹部屋の中に入って来まして、慌てて「ウタマロ」で駆除したんですよね。

それで、もしかしたベランダにあった巣から飛んできてたのかなと思って見てみたら巣がもぬけの殻になってしまっていました。

もしかしたら次期女王が越冬場所を探していたのかもしれませんね。何だか可愛そうなことをしてしまったようです。

2.ミツバチ

ミツバチはスズメバチやアシナガバチとは違い、巣が一世代限りの物ではなく、集団で身を寄せ集めて越冬します。そのため、11月の日中暖かい時間帯なんかは少しでも餌を得ようと単独で飛んでいる姿をよく見かけます。

僕が空き家の庭で作業をしている時にもよく飛んできます。ミツバチは本当に大人しくて、基本的に無視して構わないのですが結構うっとおしいです。

③まとめ

今回の記事では11月に飛び交うスズメバチの生態について考えてきました。

スズメバチは、ミツバチやアシナガバチに比べて圧倒的に危険な生物なのは間違いありませんが、少なくとも11月に巣の周辺で飛び交っているようなハチに関してはそこまでの危険性は無いと考えていいのではないかと思います。少なくとも、あれだけ近づいて撮影したり、巣近くの空き家の庭で家具の解体作業なんかをしたりしていても、すぐ近くまで飛んできたことはあっても襲われたことはありませんし。

おそらくあと一ヶ月ほどで新女王やオスバチの飛行も鳴りを潜めて、巣が完全に空っぽになる時期がやって来ると思います。そうなったら、空き家にあった巣がどのような規模でどんなものだったのかを見てみたいので、もう少し近づいて観察してみたいですね。放っておいても来年またその巣が再利用されるということはないようですが、そのままにしていても害獣の住みかになってしまうこともあるようですし。

山奥で小屋暮らしをするとなれば、当然今後もスズメバチとはお付き合いがあるでしょうから、むやみやたらに恐れずその習性を理解して適切に対処していくことが求められると思います。

またスズメバチの巣の様子に変化があったらお伝えしたいと思います。どうかお楽しみに!

また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただきありがとうございました。