どうも、たかしです。
前回、前々回の記事に引き続き、購入予定の土地にまつわる問題点について解説しています。
これまでの記事で、購入予定の土地には以下の3つの問題点があることをお伝えしてきました。
- 「遥か昔の抵当権」がついてしまっていること
- 「地目上の農地」であり、購入・農地転用にあたっては農業委員会の許可が必要だということ
- 公道が勝手に通ってしまっていること
これらの土地事情は、それぞれ単体であれば大きな問題にはならず、問題なく土地を購入できるはずでした。
しかし、この3つの条件がそれぞれ絡み合って複雑化しているために、結果として僕は土地の一部の購入を断念せざるを得ない状況になってしまったのです。
今回の記事では、これら3つの条件がどのように関係しあって購入を困難にしているのかを解説していきます。
それではやっていきましょう。
問題1.「公道が通ったままの状態だと、農業委員会の許可がもらえない」
以前の記事でもお伝えした通り、農地を購入したり、地目を農地以外に変更する「農地転用」を行ったりするためには、自治体指定の農業委員会の許可を得る必要があります。
この許可を取ること自体は決して不可能なものではありません。個人の素人が行うには大変ではありますが、地元の不動産屋さんやその他専門職の方に依頼をすれば、別途手数料はかかりますが条件次第では十分に許可を得ることができます。
事実、現在購入を検討している土地の農地部分の内でも、「遥か昔の抵当権」「公道が通っている」などの事情が無い部分に関しては、購入や農地転用ができるよう不動産屋さんは手配を進めてくれています。
では、なぜ該当部分の農地は購入できないのかというと、公道が走っている農地に関する購入や農地転用の許可を農業委員会がだしてくれないからです。
農業委員会の言い分はこうです。
職員
公道が走っているような土地を、農地として認めて購入や
農地転用の許可をだすことはできない。
測量をして分筆をし、「農地」と「公道」の部分をきちんと分けてもらう必要がある。
つまり、農業委員会は「公道」についての購入許可を出す立場にはなく、あくまで「農地」についてのみの判断をする機関であるため、現在「農地」と「公道」が入り混じってしまっている状況を整理してからでないと判断をすることができないということを言っている訳です。
小屋根ちゃん
登記上はただの農地なのに……
たかし
登記上「農地」だから農業委員会の許可が必要なのに、
農業委員会は現況を見て「公道が走っているからダメ」と
判断する……まるでダブルスタンダードだよ。
言っていることはもっともな気もしますが、そもそも、この道路が通っている土地というのは公道部分以外に関してもとても農業ができるような現況ではないのですから、「農地」と「公道」の区別にそんなこだわらなくても……とも思います。
まあ、農業委員会も後々問題・厄介ごとになりそうな案件にむやみに関わりたくないのでしょうね。本当、お役所仕事というか事なかれ主義というか……。
農業委員会への愚痴はともかく、農業委員会の言い分通りにするのならば公道が通ってしまっている部分の農地の測量・分筆を行わなくては、購入・農地転用ができないということになります。
小屋根ちゃん
じゃあさっさと分筆しちゃおうよ
たかし
そうしたいのはやまやまなんだけどね……
ここで問題になってくるのが「遥か昔の抵当権」なんだよ
分筆問題2.「抵当権のある土地は寄付できない」
抵当権の付いている土地を分筆することは可能です。しかしその場合は、分筆した土地全てに分筆前のものと同じ抵当権が付くことになります。
農業委員会の言い分に沿うならば、このように分筆した土地の内「公道部分にあたる土地」を自治体や国に寄付し、ハッキリと「農地」と「公道」を区別させることで、「農地」に関する許可を農業委員会が出すことができるようになるという流れなのだと思います。
しかしここで問題が発生します。
それは、抵当権の付いている土地は自治体に寄付することができないということです。
当然と言えば当然ですが、抵当権が付いているようないつ差し押さえられるか分からない土地を自治体や国が受け取るはずもありません。
小屋根ちゃん
抵当権を無くす方法は無いの!?
たかし
ここで抵当権が「遥か昔」の物であることが
決定打になってしまうんだ……
問題3.抵当権を無くすには、抵当権者の承諾が必要→不可能
前々回の記事でお話ししたように、僕が購入予定の土地についている抵当権は遥か昔に付けられたものであり、当事者はもちろん全員無くなっています。なので、現在その抵当権はその子孫・親戚に相続されているのですが、あまりに昔過ぎて相続人が100人以上に上ることが予想されています。
そのこと自体は、僕が土地を購入する分には何の問題も無かったのですが、しかし抵当権を無くすための承諾が必要となると話が変わってきます。なぜなら、抵当権を無くす承諾をその相続人100人以上からもらう必要が出てくるからです。
小屋根ちゃん
はああぁぁぁああ!?
たかし
あー、もうめちゃくちゃだよ……
役所ですら、最近問題になっている「放置された空き家」の問題を何とかするために、相続人93人の家系図を追うのに120万円かかっているという事例があるのに、僕のような小屋暮らしを目指す一個人にそんなことにお金をかける余裕などありません。
そもそも、土地の測量や分筆だってタダではできません。
分筆登記自体、依頼を出した場合には一筆で約6万以上かかってくるようですし、境界が確定していない土地の場合はそこからさらに土地家屋調査士に依頼して境界を確定させるのに約30~80万円ほどかかるみたいです。
もちろん、問題の土地はまだ僕の所有物ではないわけですから、現在の持ち主(売主)の方に「問題を全部片づけてから売ってください」と言うこともできますが、その場合はそこにかかってくる費用が当然土地の売買額に乗っけられる訳で……ただでさえ辺鄙な場所にあるのにそんな高価な土地だれも買ってくれなくなりますよね。
そのため、この問題に関しては今のところ解決のめどが全く立っていないというのが現状になってしまうのです。
まとめ
ここまで、3記事にもわたって僕が購入予定の土地にまつわる問題点について解説してきました。
小屋根ちゃん
とにかく面倒で、訳わかんなくて
どうしようもないということは分かった。
今後、この土地をどう取り扱っていくかに関しては、また土地を購入して小屋を建てて、生活が落ち着いてから考えていきたいと思います。
購入はします。やっぱり非常に魅力的な土地ですし、これまで取り上げてきた問題の土地部分は決して広い面積ではないので、その部分だけが購入できなくてもそこまでの問題にはなりませんので。
ただ、その場合は自分が住んでいる土地の一部が元の持ち主さんの所有のままとなってしまうので、非常に気持ちの悪い状態になってしまいます。将来的に問題が出ないよう、きちんととそのあたりの取り決めをしておいて、覚書としても残しておくことにはなっていますが……心配は完全にはぬぐえません。
たかし
将来めんどくさいことにならないように、しっかり書面は
交わしておかないと……
僕の購入予定が置かれているような状況は、恐らくですがそれほど特異な事例ではなく、判明していないだけで日本各地で起きている事態なのではないかと思います。
近年は「特定空き家」が社会問題化し、空き家解消に向けての法律の改定もあったぐらいですから、いつ誰が僕が対面しているような状況に置かれてもおかしくありません。
近いうちに抵当権に関する法律も変わって、このような問題の解決がしやすくなるような状況が訪れてくれれば非常にありがたいのですが……切に願わざるを得ません。
現在の日本の土地が置かれている何ともお粗末な状況が、この記事で少しでも多くの人に伝わればと思います。
以上で今回の記事は終わりです。
また次回の記事でお会いしましょう。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。